更新日2019/09/05

証明「√3は無理数」

対偶による証明
命題とその対偶の真偽は一致するので、命題を直接証明するのが難しい場合、対偶を証明してもよい。
背理法
命題が成り立たないと仮定して、その矛盾を導く。

つぎの命題を証明せよ。
nを整数とするとき、n2が3の倍数ならnは3の倍数である。 3は無理数である。

直接証明し難いので対偶を証明する。
p ⇒ qの対偶はqp
  「nが3の倍数でなければ、n2は3の倍数ではない。」

3は無理数ではないと仮定して 背理法で証明する。

命題の対偶は「nが3の倍数でなければ、n2は3の倍数ではない。」
mを整数とすると、3の倍数でない数は3m+1と3m+2である。
n=3m+1のとき
n2=(3m+1)2 = 9m2+6m+1 = 3(3m2+2m)+1
よってn2は3の倍数ではない。

n=3m+2のとき
n2=(3m+2)2 = 9m2+12m+4 = 3(3m2+4m+1)+1
よってn2は3の倍数ではない。

[i][ii]より対偶が真なので、この命題は真である。

3は無理数ではない、すなわち有理数であると仮定すると、 互いに素である自然数a, bを用いて
3 = ba
と表すことができる。 これを変形して
b = 3a
両辺を2乗して b2 = 3a2 ・・・(1)
b2は3の倍数となるので、①よりbも3の倍数である。
すると、整数kを用いて b=3kと表せる。
(1)に代入して9k2 = 3a2
a2=3k2
 よってa2は3の倍数となり、aも3の倍数である。
a, bがともに3の倍数となるので、これは互いに素であることに矛盾する。
したがって 3は無理数である。

次の命題を証明せよ。
nを整数とするとき、n2が偶数ならnは偶数である。 命題の対偶は「nが奇数ならn2は奇数である。」
mを整数とすると奇数n = 2m+1と表せる。
n2 = (2m+1)2 = 4m2+4m+1 =2(2m2+2m)+1
2m2+2mは整数なのでn2は奇数である。
よって対偶が真なので この命題は真である。

2は無理数である。 2は無理数ではない、すなわち有理数であると仮定すると、 互いに素である自然数a, bを用いて
2 = ba
と表すことができる。 これを変形して
b = 2a
両辺を2乗して b2 = 2a2 ・・・(1)
b2は偶数となるので、①よりbも偶数である。
すると、整数kを用いて b=2kと表せる。
(1)に代入して4k2 = 2a2
a2=2k2
 よってa2は偶数となり、aも偶数である。
a, bがともに偶数となるので、これは互いに素であることに矛盾する。
したがって 2は無理数である。

2+5は無理数である。 2+5は無理数ではない。すなわち有理数であると仮定し、有理数cを用いて 2+5=c とする。
変形して 5 = c − 2
両辺を2乗して 5 = c2 − 2c2 +2
変形して2 = c2 − 32c
2c, c2−3ともに有理数なので右辺は有理数となる。
これは 「2は無理数である(②より)」に矛盾する。
よって2+5は無理数である。
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