更新日2021/11/28

常に成り立つ2次不等式 解説

1

不等式ax2+bx+c>0がすべての実数xについて成り立つとき
ax2+bx+c=f(x)として y=f(x)のグラフがx軸と交わらずに常にy>0にある。
[i] a=0のときはy=f(x)のグラフは直線となる。
x軸と交わらない直線はx軸と平行となる。
つまりb=0, y>0のためにはc>0
[ii] a≠0 のときy=f(x)のグラフは補物線である。
放物線がx軸と交わらないためには判別式D<0
y>0となるためにa>0(上に凸)となる。
不等式ax2+bx+c>0がすべての実数xについて成り立つ条件
「a=b=0 かつ c>0」 または 「a>0 かつ D<0」

(1) 次の不等式がすべての実数xで成り立つkの値の範囲
x2+kx+4>0

2次不等式なので D<0であれば常に成り立つ。
D=k2-4×4>0
よって-4<k<4

(2) 次の不等式がすべての実数xで成り立つkの値の範囲
(k2−4)x2+(k+2)x+1>0

2次の係数が文字なので、1次不等式と2次不等式の両方を考える。
ax2+bx+c>0 は a=b=0かつc>0で成り立つので
k=-2のとき成り立つ。

ax2+bx+c>0 は a>0かつD<0で成り立つので
k2-4>0のとき
D=(k+2)2-4(k2-4)<0
(k+2)(3k-10)>0
つまりk<-2, 103 <k

[i][ii]よりk≦-2, 103 <k


2

xの変域に制限がある場合、 区間内の最小値>0 である。

(1)
x2−6x+k>0が次の範囲内で常に成り立つような定数kの値の範囲を求めよ。
2≦x≦5 −2≦x≦1 4≦x≦6

x2-6x+k=(x-3)2+k-9なので、軸はx=3
2≦x≦5では 軸が区間内なので頂点が最小となる
よって k-9>0
k>9
-2≦x≦1では 軸が区間の右側にあるので右端f(1)が最小となる。
f(1)=1-6+k>0
k>5
4≦x≦6では 軸が区間の左側にあるので左端f(4)が最小となる
f(4)=16-24+k>0
k>8

(2)
x2−2kx+4k+12>0が0≦x≦4のすべての値に対して常に成り立つような定数kの値の範囲を求めよ。

x2−2kx+4k+12 = (x-k)2-k2+4k+12
軸がx=kとなる
軸が区間内にある場合 0≦k≦4
頂点が最小なので -k2+4k+12>0
k2-4k-12<0
(k-6)(k+2)<0
つまり -2<k<6
共通範囲は 0≦k≦4

軸が区間の右にある場合 k>4
区間の右端が最小 f(4)=16-8k+12>0
つまり k<7
共通範囲は4<k<7

軸が区間の左にある場合 k<0
区間の左端が最小 f(0)=4k+12>0
つまり -3<k
共通範囲は-3<k<0

[i][ii][iii]より -3<k<7

(3)
−x2+2kx+6k+1>0が0≦x≦2のすべての値に対して常に成り立つような定数kの値の範囲を求めよ。

-x2+2kx+6k+1=-(x-k)2+k2+6k+1
軸はx=kとなる。
上に凸なので軸が区間の中央x=1より右か左で場合分けする。
k<1のとき 右端f(2)が最小
f(2)=-4+4k+6k+1>0
つまり k>310
共通範囲は 310<k<1

k≧1のとき 左端f(0)が最小
f(0)=6k+1>0
つまり k>-16
共通範囲は k≧1

[i][ii]より310 <k

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